一夜にして完遂できることは、一夜に

して灰燼に帰するべきであるという 、

最も初歩的な、 コメディのレッスンを

きみたちに与えるのを忘却していたの

は、 私は素直にきみたちに謝ってやっ

たっていいのだろう。 だからといって

きみたちが巴里に行ったこともなく 、

巴里からの行方知れずの子どもたちに

成ったことさえもないという重大なミ

ステイクを許してやるつもりは、 とて

もではないが、無い。私は、返還不能

の占拠地の神様ではないのだからね。

《 神 》 と謂えば、きみたちはもちろん

あの修業僧の名まえを知っているだろ

うよ。 　（ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 、 僧の記憶が、

投げやりな真夏の決断に委ねられてし

まう、 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ）　大切な、 ミホト

ケの性急な即決。僧の修業とひとクチ

に言っても、内容はさまざまなのであ

るが。無論、句読点を、魂に、万年筆

（億年筆、兆年筆？）の青のインクで

印しづけるのも、それらしい苦行の一

個ではあるからしてね。 苦業、 苦業、

ニガイワザ、ワザ、ワザ？　すべての

業は、神への自己CMであり、それは

崇高な資本主義の営みなのである。社

長のヤハウェは利潤の追撃にゆるみが

ない。 ワザトラシイ笑顔の4番のバッ

ターが法悦のホームランをかっとばす

のも苦業のひとつである。アンディ・

ウォーホールは、晩年には、『最後の

晩餐 』 をシルク・スクリーンへPOP

に転写／反転させた。それは苦業では

ない、ワザトラシイお遊戯である。 あ

いつらは殉教者のフリが上手い。要心

せねば、私も一味だ。（印鑑証明を戴

けますか？、 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ） さて、 僧

の修業のお話しは、あらかた終わって

しまったようなものだが、彼の業とは

剃髪であったのだ。つるつる、つるつ

る、つる、つる、すべての毛根細胞か

ら血が吹きだして、僧の必死の形相は

満月を超えてしまう。 だから自然と、

彼はいつの間にか、エッフェル塔のて

っぺんで輝いている。 アンディよ、あ

れだ、あれこそを、貴男の黄泉の巨大

なスクリーンに熱転写しなさい。それ

が《苦＝業》というものさね。