5   人称の星
 
 
 
 
カフェイン、黒点、誘惑としての。
それらが準備されていなければ、
私は「観測」とも「監視」とも
どちらとも 名付けられぬ その
眼球の運動を
「あの」惑星(恒星?)へ
向かって
「その」視力の欲望が
裂かれ、剖かれて、開示されることすら
なかったであろう。
もちろん、我が肉体の
話し、世間噺ではあるが。
 
私が「私」と語りだした
「この」男、すなわち「彼」は、
自称・天文學の男。
「惑星」へ まなざしが届くよりも
「彼」に 聴力がおよぶのに
百万光年かかってしまう。
《光》に 隠蔽されてしまう 人間への距離。
 
 
人称は光線に弱い。
   逆光で視えなくなってしまうのだ。
 
 
さて、天文學の男の話し、
「彼」が 定点観測していた
点は
五〇年に 5cmづつ 移動することが
プライヴェートに 立証された。
 
 
 「彼」は「私」と語る欲望に勝てやしない。
      弱い、弱い、自称の「男」。
 
私の眼の語る所に拠れば
「あの」彼方の 点は、
枯れた井戸だ!
不毛の地に 「水」を求めての
5cmだけの 移動なのだ!
 
   だが、枯れているのは 「私」の声の「水」。
   「不毛」は おまえの人称代名詞だ!
 



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