1   「真夜中のブックオフ・ブルース」 松下真己
 
 
 
 
ファックオフ、ロックオフ、ブックオフ。
夜更けにひとり 醤油ごはん 食べて
それから ブックオフで佇むのは 楽しくない。
ぼくに 必要なのは
一緒にいてくれる ガールフレンド。
きみのチャームポイントを すべて探索したいよ。
きみは ぼくの最終避難所さ。
「Yes! ルックスよりもセックス。」
だから、ぼくも きみの最終避難場所。
羅武(らぶ)、羅武(らぶ)、愛してイル。
ファックオフ・ロックオフ・ブックオフ。
それから たぶん きみは もう死んでいる。
自分の遺書を ブックオフまで 買いに来た。
だけど 存在しないものまでは 売っていない。
NO! NO! カルト資本主義だぜ、ブックオフ。
ハルシオンを キャンディドロップみたいに
舐めて 食事もしなきゃ それじゃ死ぬよ。
ぼくに言わせりゃ 瀕死のキャンディキャンディ。
この死人が いまのぼくのガールフレンド。
あの娘を 黄泉の国まで 送るため
ぼくは 極楽までの おしゃべり時間を過ごすのさ。
「あ、村上春樹の新刊が出てるわ。」
「そりゃあ、ブックオフだからね。」
「ウルトラ7の12話のDVDがあるね。」
「そりゃあ、ブックオフだからね。」
「石垣りんの朗読CDがあるわ。」
「そりゃあ、ブックオフだからね。」
「宇野千代の新刊があるわ。」
「そりゃあ、ブックオフだからね。」
あの娘 何だか 死んでないような気がするんですよ。
ぼくは ハロウィン生まれの
もういない女の子と 夜中のデート。
気がついたら ぼくら以外は 店員さんだけ。
ブックオフの店員さんって この時間は人間だっけ。
深夜の自動ドアが 開いて 締まって
その7秒のあいだに 7箱のダンボールが
買取カウンターに 運びこまれました。
もう 誰も 喋らない。
それから「松下真己」、つまりぼくの、
詩が載っている 雑誌「詩学」を 一〇五円で 売っています。
やっぱり 彼女が死人で ぼくは生者。
ららら 現実だから しょうがない。
羅武、羅武、愛してイル。
ファックオフ、ロックオフ、ブックオフ。
これが 真夜中の ブックオフ・ブルースです
 



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