SPOKEN WORDSとは?
書を読んだら、映画を観たら、街に出よう。



2    「SPOKEN WORDSをわかりたいあなたのための日本語ブック・ガイド」
 
 スポークン・ワードとは比較的最近に、主に音楽産業のアメリカの文脈をバックボーンに「輸入」されている、まさに現在進行形のジャンルです。
 しかし、日本語にはすでに現代詩笑いヒップホップがあります。まずはその学習からはじめても、おそくはないでしょう。
 
 日本語のスポークン・ワードの文化の基盤を作るためにも必要と思われる書籍をあげてみました。絶版などの本も紹介してあります。本当にあなたが読むべきなら、図書館などで出会えるでしょう。
 それでは、良い読書を!
「過渡期ナイト」代表 死紺亭柳竹
2005.3月
 
 
 
◎日本の現代詩(ポエトリー)を読みたい、書きたい。
 
『詩のこころを読む』茨城のり子 (岩波ジュニア新書;岩波書店 1979年)
 
*読むべき詩の「読みどころ」を平明に伝える作者の力量はすごいです。女性詩への目くばせ、自身の体験した日本の敗戦前後のさりげない描写も見事。著者は『自分の感性ぐらい』などの名作で広く知られる詩人です。
 
 
『ことばの力:しゃべる・聞く・伝える』川崎洋 (岩波ジュニア新書;岩波書店 1981年)
 
*作者は、活字の詩だけにこだわらず、「方言の詩」や「こどもの詩」などのフィールドワークにつとめた詩人です。わかりやすく「ことばの力」を教えてくれるのも、その日本語への情熱からでしょうか。ユーモアを忘れずに、「ジュニア」という場所までコトバを届けられる詩人でした。
 
 
『詩のすすめ 詩の言葉の通路』吉野弘 (詩の森文庫;思潮社 2005年)
 
*詩作品そのものの言葉の感触と、詩人の背景を同時に読みこむという、文字にしてしまえばかんたんですが、とてもむずかしいことを、わかりやすく伝えてくれます。自作詩に対する読解もとてもクリアで、「詩を書く」ためには「詩を読む」ことが必要だと実感できます。
 
 
『現代詩マニュアル』野村喜和夫 (詩の森文庫;思潮社 2005年)
 
*「むずかしい日本の現代詩」というイメージがあったときに、それが単純に現代の問題でなく、歴史的な戦後詩の状況とのつながりに原因があることを教えてくれます。また現代詩に接するときに出てくるレトリックや用語の解説もタメになります。
 
 
『ぼくの現代詩入門』北村太郎 (大和書房 1984年)
 
*戦後を代表する詩のグループであった「荒地」の代表的詩人による、わかりやすい入門書です。書名に“ぼくの”とついているだけあって、「荒地」というグループを入門するのにはいちばんいいかも知れません。書かれた年代に即しての視野も広く、また巻頭詩もすばらしいので、見つけたら読んで下さい。
 
 
『詩的モダニティの舞台』スガ秀実 (思潮社 1990年)
 
*これは、はっきりと超上級者向けです。この本を読んで、理解してしまうと、普通の意味での「詩を読む/書く」ことは不可能なはずです。実際に1960年代からの時代をそのようにまっとうして死んでいった山本陽子論など、「読むべき」名著であるのは強調しておきます。スガ秀実さんの奥方はポエトリーリーディングでも高名な詩人・筏丸けいこさんです。
 
(※糸へんに「圭」と書く「すが」という字は常用外漢字です。インターネット書店Amazonでもカタカナ表記になっています。)
 
 
 
◎歴史的に読む日本の「笑い」のSPOKEN WORDS
 
『上方まんざい八百年史』前田勇 (杉本書店 S.50年刊 1970)
 
*“まんざい”という日本の古典芸能の最も古い記録は13世紀までさかのぼります。藤原定家の『明月記』に出てくるのがその一つの事例でしょう。近世の上方語の研究に一生をかけた著者が、古典から近代漫才までのアウトラインを鮮明に描き出す名著です。
 
 
『漫才作者 秋田 實』富岡多惠子 (平凡社ライブラリー 2001)
 
*近代漫才の元祖はエンタツ・アチャコとされます。彼らが決定的に新しかったのは、秋田實(あきた・みのる)という「作者」を持ったことでした。プロレタリア文学から出発し、転向した秋田が向かったのは「笑い」という宿命的にPOP(大衆的)な場所だったのです。詩人で作家の著者の筆力によって、現代に至るまでの近代漫才像が描かれます。
 
 
 
◎ヒップホップを知りたい、わかりたい。
 
『ヒストリー・オブ・ヒップホップ』アラン・ライト編著 
(ブラスト編集部監修;2002年;シンコーミュージック刊)
 
*この本はヒップホップの歴史というものを越えて、一級のアメリカのマイノリティー社会の物語です。豊富な図版によって、ヒップホップがラップだけでなく、ブレイクダンス、グラフティーアートなどと密接な芸術であることがわかります。ラップ自体もアフリカ系アメリカ人に起源を持つ芸術形式であり、ギャングスタラッパーもアメリカ合衆国の負の部分から生まれたという必然性がわかります。アメリカ現代社会の文化と精読をしたい人にもおすすめの一冊です。
 
 
『Jラップ以前』後藤明夫編著 (TOKYO FM出版 1997年)
 
*日本のヒップホップは、パンク・ニューウェイヴの受容として始まったといえるでしょう。本書の「Jラップ」とは1994年の「今夜はブギーバック」と「DA.YO.NE」のヒットによって商業化されたラップを指しています。日本にヒップホップが自明でなかった以上、その文化には「輸入」と「翻訳」の作業が必要でした。
  
その解釈を体現するMCだった いとうせいこう・近田春夫両氏が現在「文化人」なのも、このような事情があるからではないでしょうか。アメリカのスラム街の貧困から生まれたヒップホップは、日本では1980年代のバブル経済期に出会ってしまったのです。貴重な文化的証言集です。
 
 
『ヒーローはいつだって君をがっかりさせる』磯部涼 (太田出版 2004年)
 
*現在の日本のアンダーグラウンドと呼ばれる、商業化を拒むヒップホップシーンの地図となる一冊です。この日本語は「荒地」でなく、もしそう見えるとしたら現在の日本社会が「荒地」なのを直接反映してしまっているからでしょう。外見の乱暴さに反して、完全即興でなおかつ韻を踏むフリースタイルは規則を守ろうとする知性がなければ不可能です。1980年代初期からのアングラ文化から、一貫してヒップホップというジャンルを意志的に選択しているECD氏の存在も重要でしょう。
 
余談ですが、本文中に「古川耕によると」というセンテンスを見つけると嬉しくなります。古川氏は現在の日本のヒップホップの最先端で「現場」をこなしつづける批評家であり、アクティヴィスト(行動によって世界を変えようとする者)だからです。
 
 「過渡期ナイト」の結論もここにあります。ここから先の日本のスポークン・ワーズの未来は「現場」にしかありません。
 書を読んだら、街に出ましょう!ピース!
 



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