舌切り雀、舌切り猫、舌切り魂、・・・・・・・。

　　　どれも民話のなかでの、

　　　夢物語りではありません。

　　　切り裂きジャックが

　　　ロンドンの霧の中で活躍している頃

　　　ＮＩＰＰＯＮでは

　　　ベロ出しチョンマが

　　　磔刑地獄を抜け出して、

　　　己がベロを凶器として、

　　　寓話の私刑執行をスタートする。

　　　ベロ･ザ･ナイフ、ジャック･ザ･ナイフ、

　　　　レザー･シャープな刃物たちの凶祭よ、

　　　　　　　べろべろばぁ！

 

母なる猫舌を　ちょん切られても

父なる男根は　屹立しているのか。

　　血だまりの　なかで

　　血まみれの　血のかたまり　にも似た

　　舌の根が　びくんびくんと

　　まだ　体温も下げずに

　　断末魔　のたうちまわっていても

　　ペニスは　平気な顔貌をして

　　快楽主義に　震えている

　　事ができる。事なかれに。

 

Ｐｕｓｓｙ　ｃａｔと謂えば

猫ちゃん、にゃんこちゃん、女陰ちゃん。

女性器に　挿しこむだけの舌を

人類も　詩人も　発明しなかった。

これだけの時間をかけて。

 

マザー･タング（母国語）を

奪われた（遺棄した？）亡命詩人は

日常会話に支障はなくとも

《詩》は死傷したそうである。

Ｐｕｓｓｙ　ｃａｔ専用の　デリケートな痒みを

鎮める　まんべんない塗り薬があれば

舌頭を駆使して　クリトリスを愛せばよかった。

　そんな特効薬もない世界で　亡命詩人から

　映画監督に変貌した男の　　次回作の名は『猫庵』。

　　　　　　　　　　　　近日上映。これだけの時間

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　をかけて、・・・・・・・。