春が腐っていく、 ・ ・ ・ ・ ・ ・
春が爛れていく、・ ・ ・ ・ ・ ・
春が潤んでいく、・ ・ ・ ・ ・ ・
春が傷ついて、
春が膿んでいく、・ ・ ・ ・ ・ ・ 。
文学狂室で學んだことは、
もう弊えてしまった。
絶對音感、この忌むべき能力。
倉庫番の嘆きの「力」。
蔵の中に、すべてのノイズを、
音階として仕舞い込める
呪われた「耳」。
耳の内部、鼓膜(薄す衣)を突き破って、
かたつむりが鎮座しているのだ!
かたつむりは黙秘権を行使して、
もう一億年経ってしまった。
人類の狂気の始原。耳に素喰ってゐた。
宇宙がささめく冗談は、
さして原理的ではなく、
春を抱きしめてしまう。
そのぬくもりは
非在の母を懐しむ
愛ではなく、否の慕情。
連絡線が桜の岸を出立します。
桜の岸を出立します。
桜の岸を出立!
「五月病」の緑は、
宇宙(ガス)とは、
無関係の「水」を吸い上げる、
巨きい樹なのであった。
それが、この川の舟からの「遠景」。
ミクロコスモスは離れていってしまう。
春は病んでいる、・ ・ ・ ・ ・ ・、
春は止んでいる、・ ・ ・ ・ ・ ・、
春は痩せている、・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・。
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