7   温風帯の動機
 
 
 
 
「そこ」から「ここ」へ
補助線を 引く 必要 は
まったく ないからね。
それは 『風』の仕事だから、
所詮アルバイトの きみ(きみたち)の
出る幕 じゃあ 無いわなあ。
自給950円の 人間の引く線は
ボールペンを使うから
陰惨な印象を 与えかねない。
お客さまに、 ね。
 
 
   國土の、お國柄と云う奴だろうか、
   湿風の湿めりのウワサは
   いまだに よく聴くのに
   温風帯の真相は
   誰の口の端(葉)にも
   のぼらない。
   樹の不満、樹の否定、樹の詩神。
   『葉』から『葉』を 揺らして
   領土を直線で仕切る為の
   御大切の仕事を 完遂してみせた
   温風帯へ 我々は
   単独インタビュウを 申し込んだ。
 
 
『あのころハ、アタシも若くてね、
     そりゃあ、無茶ヲしたもんですよ。
  ア、どうか、遠慮しないで、
       そこのオセン喰べてやッて
               くださいよ。
   どうせ、会社の経費で、落ちるンですから』。
七十八歳の温風帯は、いまや警備会社社員。
「警備」とは名ばかりで、ひなびたビルの管理室に
温風帯は おさまっていた。
風の翳りもなく、『風』の職務も忘れて
                しまって。
 
     噫! 少年は嘆いてしまう。
     風は もう己れの崇高な仕事
     を 忘却してしまった、堕落してしまった!
     精神のダムサイドの輪郭を造る線
     は もう ぼくが自分で引くしかないのだ!
 
そう決意して ダムの縁に ナイフを持って 立っている
少年の黒髪を 風は 嫌味なまでに 優しく なぜる。
 



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